本年は、4年間にわたる研究の最終年度として、フランス現地調査をはじめとする以下の課題を実施した。 まずパリにおいて、交流を深めてきたフランスマルシェ商業者連合協議会(FNSCMF)との関係をさらに強化すべく、いろいろと今後の動きについて討議した。2007年に研究代表者田中道雄が上梓した『フランスの流通-流通の歴史・政策とマルシェの経営--』中央経済社については、すでに先方に手渡し済みであるが、こうしたマルシェの動きについてさらに深耕するため、今後とも現地での討議を通じマルシェ研究を深めるための協力を依頼し、快諾を得ている。 他方、昨年より始めたエクサン・プロヴァンス大学との研究連携は、双方の著書、論文の交換を進めており、下記に示す『現代の都市流通』の研究成果に大きく貢献している。今後、次の段階においてはさらにその研究交流を密にすると同時に、現在、その共同研究のテーマについて議論を重ねている段階である。その一環として、2010年2月には、同大学のカポ・クレール氏来日に際し、大阪で2日間にわたりセッションを行うとともに、今後の共同調査・研究についての討議を行い、研究交流促進で同意した。 なお、本年も大阪学院大学において、第4回フランス流通セッションを開催した。 本年の会合には、8名のフランス流通研究者が参加し、2日間にわたって研究発表と活発な討議を実施した。これまでの科研費による研究成果に加えて、4回にわたる流通セッション参加者の協力を得て、現在、中央経済社より、田中道雄・白石善章・相原修・河野三郎編『現代の都市流通-グローバル化時代のフランスの事例に学ぶ-」を印刷中であり、2010年5月刊行をめざしている。その意味では、4年間の本研究から、2冊のフランス流通研究の著作が生まれることになり、手薄な研究分野に大きな貢献をなしえたものと考えている。
|