研究課題/領域番号 |
18330095
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
後藤 雅敏 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70186899)
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研究分担者 |
中野 常男 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60093522)
櫻井 久勝 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10127368)
鈴木 一水 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (90235937)
音川 和久 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (90295733)
清水 泰洋 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80324903)
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キーワード | 理解可能性 / 予測情報 / 過去情報 / キャッシュフロー情報 / 価値関連性 / 実験会計学 / アンカリンク効果 / 反応時間 |
研究概要 |
本研究は、会計情報の理解可能性(Understandability)の問題について、実証研究と実験研究からの証拠に基づいた主張をして、現在の会計制度ならびに証券行政に対して、意見を述べることを目的としている。 実証研究では、キャッシュフロー情報と予測情報の増加が、企業評価の観点から、長期リターンの予測を変化させるかを検証した。米国で行われた研究と比較した場合、同じように、公表される情報が増加すると、確かに株価の変動の中で説明される部分が増えることがわかったが、その大きさは極めて小さいものであることもわかった。Vuong検定で確かめた結果も有意であるが、その大きさが小さいゆえに、今後、逆の結果が出てもおかしくないことも、分かった。つまり、理解可能な情報は、それほど増えていない可能性がある。 つぎに、実験研究でも、実証研究と同じように、企業評価の観点から、公表される情報が増加しても、取引者の利得は決して増えない、という実験結果が出てくることを確認した。実験室で行われた、被験者6人の実験では、情報が到達した時点で、被験者がそれまでに持っていた情報と比較して、今、与えられた情報が意思決定において必ずしも有意に作用していない、ということが発見された。 以上の結果を合わせて判断すると、キャッシュフロー情報と予測情報を追加的に公表しても、投資家の意思決定を改善していない可能性があること発見できた。ただ、そのことは、発見が、あくまで「統計上で有意な発見」なので、今後も研究を重ねる必要性がある、と思われる。
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