研究課題
本課題は、札幌学院大学の「SORDデータアーカイブ」を拠点として、社会学史上大きな意義を有している二つの調査水脈の整理・管理・公開を軸にして、「社会調査史の博物館」構築を目指すプロジェクトである。二つの調査水脈とは、かつて布施鉄治らの北海道大学グループが実施した「夕張調査」と関連諸調査、および東京大学似田貝グループが実施した諸調査であり、SORDデータアーカイブでは数年かけて、合計して段ボール120箱程度になるオリジナル・データセットと関連資料を受け入れた。前者に関しては基礎的な資料リストを作るところまでは行われている(後者に関しては資料リストすら存在しないので、今年度からその作成を開始した。この作業に謝金の一部が使用されている)。そこで初年度は、『夕張調査資料集成』(仮称)の作成を目指して、3つの準備作業を実施した。1)調査票原票の相互連関や欠落の確認、調査票-中間的整理票-成果物の関連の確認、成果から省略されている要素の探求2)関連する文献・書評・新聞記事の収集、夕張市の現地調査などを通じて、当時の炭坑社会が置かれていた状況・文脈を確認し、その中に本調査を位置づける作業3)写真・地図などマルチメディア資料の収集および夕張周辺で炭坑遺産保存活動に関わっている関係者との協力体制の確立によって、調査の現代的意義の検討および博物館的機能の基礎づけを行う努力である。1)に関しては、調査票の電子化作業を進めており、2)3)に関しては、7月と10月に現地調査を実施して、市当局、石炭博物館関係者、市民グループとの協力体制を確立しつつある。また内部組織としては、博士課程在籍者をリサーチ・アシスタントとして雇用し、毎月5日間程度、集中的に資料整理・研究課題の抽出等を依頼し、その成果および研究代表者・分担者各自の作業を持ち寄って、月一回の頻度で会議ないしワークショップを開催、情報共有と課題確認を行っている。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
社会情報(札幌学院大学社会情報学部紀要) Vol.16,No.2
ページ: 31-90