本課題は、札幌学院大学の「SORDデータアーカイブ」を拠点として、社会学史上大きな意義を有している二つの調査水脈の整理・管理・公開を軸にして、「社会調査史の博物館」構築を目指すプロジェクトである。二つの調査水脈とは、かつて布施鉄治らの北海道大学グループが実施した「夕張調査」と関連諸調査、および東京大学似田貝グループが実施した諸調査である。これまでわが国の、少なくとも社会学会においては、主導的研究者の調査資料であっても退任後は散逸することが常態化していた。本研究によって、このような学問的損失に歯止めをかけるモデルを示すことができる。さらに意義の大きい調査資料を再利用可能なものにすることで、社会(調査)史の再定置、地域社会の記憶の保存、社会学におけるアーカイブズ学(とくに電子化による資料保存技法)の発展に寄与することができる。
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