研究課題/領域番号 |
18330115
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西川 長夫 立命館大学, 先端総合学術研究科, 講師 (00066622)
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研究分担者 |
米山 裕 立命館大学, 文学部, 教授 (10240384)
高橋 秀寿 立命館大学, 文学部, 教授 (70309095)
今西 一 小樽商科大学, 商学部, 教授 (20133621)
麓 慎一 新潟大学, 教育人間学部, 教授 (30261259)
石原 俊 千葉大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教 (00419251)
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キーワード | 帝国 / 法 / 国内植民地 / ナショナリズム / グローバル化 / 移民 / 国民国家 / 植民地主義 |
研究概要 |
最終年度は、比較歴史社会学的な観点から近代的ヘゲモニーとしての「帝国」の形成過程をそのヘゲモニーに巻き込まれてきた人々の経験の場から実証的・理論的に捉えなおし、考察を深めた。また、シンポジウムやフィールドワークを通じて現地の方々や研究者の方々と交流することで、新たな問題意識を得るとともにそれらを共有することが可能になった。 特に力点を置いたのは計三回にわたるフィールドワークの実施である。昨年の10月は韓国の群山市と木浦市、11月は同じく韓国の安山市、今年2月は日本の川崎市で現地調査をおこなった。韓国での調査の前日にはいずれもシンポジウムが開催され、全北大学校での「世界-地域的実践としてのコメ文明:植民地と脱植民地の視座から」と漢陽大学での「グローバリズムの時代のナショナリズムとトランス-ナショナリズム」に参加し、報告をおこなった。また川崎市での調査の前日にも研究代表者による講演「多文化共生と国内植民地主義」が横浜国立大学で開かれ、教員、学生、市民を交えた有意義な討論が展開された。韓国の穀倉地帯である群山と木浦では、日本人地主の進出と植民地都市の開発による収奪の歴史的な痕跡と国家プロジェクトによる産業団地化の現況を調査した。多文化共生のモデル地域とされる安山では、多文化主義政策の転換と移民問題、移民に対する支援活動を調査した。同じく日本でのモデル地域とされる川崎市では、朝鮮学校や保育園における民族教育や多文化教育の問題、朝鮮総連川崎支部の共生活動とNPOアリランの家における養護老人ホームの運営等を調査した。 以上の研究報告や現地調査は、「周縁」化されてきた人々の生活世界の変容とそれとの関係から再編される「帝国」というシステムを解明する観点からなされたものであり、その成果は『立命館言語文化研究』と本科研費の研究成果報告書に収録した。また、2006年の連続講座をもとにした書籍『グローバリゼーションと植民地主義』が今年3月に人文書院から出版された。
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