研究課題/領域番号 |
18330116
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中村 治 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10189029)
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研究分担者 |
鳥越 皓之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80097873)
古川 彰 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90199422)
松田 素二 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50173852)
西城戸 誠 法政大学, 人間環境学部, 助教授 (00333584)
土屋 雄一郎 京都教育大学, 教育学部, 講師 (70434909)
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キーワード | 生活環境主義 / 水害記録 / 環境社会学 / 自助共助 / 写真 / 地域住民参加 / 琵琶湖 / 淀川水系 |
研究概要 |
この研究は、日常生活世界の中で、自然災害、とりわけ水害をとりあげ、水害被災当事者の生活の視点から水害現象を捉え直し、生活再建や地域社会の再生の方向を理論的かつ実践的にさぐることを目的としている。そしてそのために、一方では、社会科学的、人文学的な水害研究の文献を読み込み、水害を人びとの日常生活の総体の中で通時的に研究するための理論の構築を行い、他方では、各分担者が対象とする地域を選び、そこにおける過去の水害を記録した文書、写真などを発掘し、水害経験者からの聞きとりにより、経験者の記憶を生活史として再構成しながら、水害からの地域社会の再生のプロセスを環境社会学的に明らかにするとともに、聞きとりや記録資料を元に、次世代に水害文化の継承を図る社会学的手法の開発をめざしている。 代表者の中村は、京都の鴨川水系に属している岩倉川を中心に聞取り、古写真の収集を行い、その成果をまとめた。岩倉では、川は灌漑、食器洗い、野菜洗い、、洗面、洗濯、風呂の水の供給源、水車による精米、子どもの遊びなどに使われたのみならず、お盆の時にはあの世とこの世の境として、そして葬式の時には三途の川としてみなされ、精神病治療の際には、滝が精神病を癒す道具としてさえ用いられていた。このように人々の暮らしが川と密接に結びついていたからであると思われるが、昭和10年6月29日の大水でため池が決壊し、洪水が起こった時も、全壊家屋などが多数でたものの、青年団などが核となって助け合い、一人の死者も出さずに済んだことを明らかにした。そして2007年3月17日に岩倉川水系を地域の人と歩き、成果を説明した。 各研究分担者も、個人や地域社会の視点からみる水害彼の地域再生の方向がどうあるべきかといった観点から、それぞれの地域において古写真を活用した資料提示型インタビューをおこない、水害がいかに記憶され、言語化されるか、その会話分析をおこなうためのデータとして整理した。
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