研究概要 |
本研究は,北東アジア諸国,諸地域(日本,韓国,中国,台湾,香港,等々)における福祉システムを,主として,福祉レジーム論とポスト,オリエンタリズム論といった二つの観点から国際比較分析をすることを目的としている。本研究は四ヵ年計画で実施され,平成19年度はその第二年度に当るた.平成19年度は平成18年度の研究成果を踏まえて,以下の研究課題に取り組んだ。(1)ポスト,オリエンタリズム,アプローチの理論的な検討を進めた。その過程で,田多英範教授と福祉国家の形成要因および韓国の福祉国家化に関する公開論争を行った。(2)実証的な研究については,これまで比較の中心だった日本,中国(大陸),韓国三ヵ国については継続して調査したが,それらに加えて,台湾も検討の対象に含めた。(3)以上の成果をさらに発展,彫琢するため,東アジア諸国の社会政策研究者との研究交流を深めた.平成19年7月には中国,杭州市で開催された社会政策国際論壇,東亜論壇に参加して議長と討論者をつとめた。同年9月には韓国ソウル市で開催された代官会社会保障国際会議に出席して,基調報告を行った,同年10月にはEASP(East Asian Social Policy research network)というオープンな研究集会を東京大学で開催した.100名以上の参加者が集まった。(4)さらに以上の成果を共有するため,平成20年3月に,東京大学を会場にして「東アジアの福祉レジーム」に関するクローズドの国際ワークショップを開催した。ここには日本,韓国,中国,台湾の社会政策研究者が参加して研究発表と討論を行った。参加者を小人数に絞ったため,かえって相互理解が深まった。
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