19年度にA市で実施した連携実態調査の結果から、連携ツールの開発とケアマネの技術向上研修会で事例検討会開催することを委員会で決めた。そしてH20年度は、ケアマネジャー、家族を対象に5回研修会を開催し、連携ツールとして医師会と地域包括支援センター、家族会の共同で「C市認知症ケアマップ」を作成した。またケアマネジャーのための認知症者処遇困難事例集を作成し、この事例集から認知症者地域連携診断マニュアル作成(作成中)することとした。またH21年3月には地域医療、地域包括支援センター、社会福祉協議会が「C市認知症地域連携フォーラム」を共同開催した。 A市ケアマップでは、A市内29の診療所がA市医師会の協力を得てマップにその診療情報が記載された。また、A市ケアマネジャー連絡会からは44事業所の参加が得られ、利用者に対してわかりやすい情報提供ツールとして活用された。また認知症処遇困難事例は、合計34例について検討した。その結果、最も処遇困難例として多いのが行動心理症状(BPSD)の対応であり、特に家族の介護破綻に伴う混乱や虐待に関する対応であった。特にこれらの処遇困難例に対する医療やサービス事業所の受け入れの問題であった。特に医療機関同士の情報提供や他のサービス事業所への情報提供がスムーズに行かない点であった。またA市には専門病院が無いために遠隔地まで通院する必要性から多くの場合は十分な医療を受けられない状況が明らかになった。このように認知症者のBPSDや身体疾患による医療との連携がスムーズでないことが殊遇困難例として最も多いことが明らかとなった。 認知症地域医療福祉連携には、C市のように行政と地区社協、地域医療、地域包括支援センターの三者が一体になって事業に取り組むことが必要で、C市での地域ケアマップと事例集の作成、連携フォーラムの開催は、本介入研究の成果であるが、最も重要なことはこれらの成果物が3者の共同で作成したことである。
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