研究課題
要介護高齢者の在宅生活の限界点とその規定要因を明らかにすべく、東京都葛飾区および秋田県大館市に居住する要介護高齢者と家族主介護者を対象に、平成15年度、平成17年度に引き続き平成19年度に調査を行った。本年度はこの平成19年度に調査会社に委託して実施した2地域の1373組の要介護高齢者と家族主介護者の第3波追跡調査データをクリーニングして縦断データ解析の準備を整えた。また、研究者が直接インタビューを実施してきた質的研究データについても日本語テキスト化を行うとともに必要に応じて英語への翻訳作業を行った。主な分析の視点としては、1)高齢者のADLおよびIADLニーズを支える多様性な介護体制と転帰との関連、特に夫や息子など男性介護者の役割の高まりと支援の課題2)介護に関する意思決定過程への参加状況、特に要介護者本人の状態像と関与の度合いがサービス利用や入院・入所決定に与える影響3)サービス利用高齢者と未利用者における転帰の比較4)過去の関係性が介護関係に与える影響の要因別比較分析、特に地域差と性差、個人差の影響5)低栄養評価尺度や新規に開発した介護充実感尺度などを用いた介護生活状況の包括的な把握、などが考慮されている。また、今までに得られた基本的なデータをもとに、2地域の介護者と要介護者に向けたリーフレットを作成し、すべての調査対象者に送付した。さらに、第1波と第2波のデータを中心に、11章からなる研究成果の単行本発刊が決まり、すでに集まった原稿の編集作業を終えている。
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Journal of Eastern Asian Association on Cultural Psychiatry 24(In Press)
Social Science Japan Journal 12
ページ: 1-21
Someone's Old, Something's New, Someone's Borrowed, Someone's Blue : Tales of Elder Care at the Turn of the 21st Centur y. In Imagined Families, Lived Families : Culture and Kinship in Contemporary Japan. (Albany : SUNY Press)
ページ: 137-158
Social Change and Caregiving of the Elderly. In the DemographicChallenge : A Handbook about Japan.(Leiden : Brill)
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