研究課題/領域番号 |
18330144
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
小嶋 秀樹 独立行政法人情報通信研究機構, 第二研究部門知識創成コミュニケーション研究センターユニバーサルシティグループ, 主任研究員 (70358894)
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研究分担者 |
仲川 こころ 独立行政法人情報通信研究機構, 第二研究部門知識創成コミュニケーション研究センターユニバーサルシティグループ, 有期研究員 (20425763)
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キーワード | ヒューマンロボットインタラクション / 身体的コミュニケーション / 自閉症スペクトル / 発達心理学 / 認知科学 |
研究概要 |
療育施設・保育園のプレイルームにコミュニケーションロボットを導入し、発達障害児(おもに広汎性発達障害・自閉症・アスペルガー障害など)や定型発達児とのインタラクションを合計約320人回にわたって実践し、その様.子を記録・分析してきた。ロボットKeeponは開発済であり、6月から本格的にフィールド観察を実施した。 ・療育施設1(滋賀県近江八幡市):約7名の発達障害児を長期縦断観察(グループで9セッション) ・療育施設2(福岡県前原市):療育キャンプに参加した11名を観察(個別に11セッション) ・保育園(滋賀県近江八幡市):約30名の定型発達3歳児を長期縦断観察(グループで8セッション) これらフィールドから多くのデータを収集することができた。その予備分析も並行して進め、子どもひとり一人のプロファイルの作成とその量的データ分析、個別あるいは集団の中でのコミュニケーション行為の質的な分析を行った。データ分析は、基本的にロボットのカメラで捉えたビデオデータを使い、子どもまでの距離や接触の頻度といった量的データと、分析者(ロボット操作者)による主観的な質的記述によって行なった。その結果、自閉症児が呈するコミュニケーション障害を説明する新しいモデルとして、知覚情報から他者の注意・感情・行為などを抽出するフィルタの機能が不全のため情報洪水を起こしているというモデルが示唆された。 また、これらインタラクション分析の比較(統制)を行なうために、高齢者(とくに認知症高齢者)とのインタラクション観察を、同じロボット・同じ実験条件で実施した。 ・介護施設(滋賀県近江八幡市):約10名の認知症高齢者を観察(グループで1セッション) このインタラクション観察からは個別インタラクションの自閉症療育への有効性が示唆され、また自閉症の診断あるいはサブタイプの特定に利用可能であることが示唆された。
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