研究概要 |
平成19年度は,子育て支援に求められるべき具体的な臨床心理士の専門性を明確化し,高度専門研修の課題を明らかにするために,1.英国児童虐待関連施設および児童福祉施設の視察,2.臨床事例の収集,3.質問紙調査の分析,4.文献調査を行った。また,愛着形成不全の問題について支援の場と構造,さらに支援の目的に即した援助技法を提案することを目的に,5.臨床実践介入を行った。得られた一部の成果については,国内・国際シンポジウムを開催し,社会へ発信しはじめた。具体的な実施内容は以下である。 1. ロンドンを中心に英国の子育て支援事業であるシュアスタートプログラム,里親協会,治療施設等の実情を視察し,その成果をもとに愛着形成不全と児童虐待に関する学会シンポジウムを開催した。 2. 愛着形成不全の問題についての典型事例を抽出するために,(1)児童福祉施設・乳児院(2)保育園(3)保健所を対象に事例検討会を開催し,臨床事例の収集を行った。 3. 昨年度実施した質問紙の回収が終了し(N=389),事業所ごとの比較分析を行った。 4. 昨年度に引き続き,文献の収集を行った。入手できた文献は374本であった。愛着形成不全への介入技法と予後についてのメタ分析を行うために,収集された文献を吟味し,カテゴリー別に分類した。 5. 今年度は,保育園において,臨床心理士が特定の事例について臨床実践介入を行った。次年度は,フォローアップを行う予定である。
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