研究概要 |
平成20年度は,主に臨床領域ならびに学術的な場に対する成果の還元を行った。具体的な実施内容は以下である。 1.臨床領域への成果の還元:これまでの調査研究の結果を踏まえ,次の二つの実践的な成果の還元を行った。(1)専門研修プログラムを各所と共同で検討した。(2)保育臨床での実践的活用後のフォローアップを行った。 (1)では,北海道の臨床心理士会の協力を得て,愛着形成の心理臨床的問題をテーマとし,臨床心理士約150名を対象とした高度専門研修を試みた。また,子どもの虹情報研修センターの協力を得て,児童養護福祉関連施設に勤務する心理職に対する専門研修のプログラムを実施した。(2)では,平成19年度に、愛着形成に問題があると想定された子どもに対して,研修会での事例検討ならびに臨床心理士による保育園の訪問・保育士へのコンサルテーションを実施したケースについて,各ケースのフォローアップのためのヒアリングをそれぞれの保育園に対して行った。 2.学術的な場に対する成果の還元:成果発表として,世界乳幼児精神保健学会において14件に及ぶ学会発表を行い,保育園・児童養護施設における愛着形成不全の問題に対する介入の課題を示した。さらに,心理臨床学会などでのシンポジウムを企画・立案し,福祉・教育領域の心理臨床における愛着研究の可能性を示した。
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