研究課題/領域番号 |
18330152
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
細川 徹 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60091740)
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研究分担者 |
本郷 一夫 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30173652)
内山 伊知郎 同志社大学, 文学部, 教授 (00211079)
野口 和人 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40237821)
牛山 道雄 京都教育大学, 教育学部, 講師 (90397836)
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キーワード | 鏡像自己認識 / 乳幼児 / 遅延フィードバック / 視覚運動随伴性 |
研究概要 |
前年度に作成した鏡映イメージ・ビデオ・フィードバックシステムを用いて、鏡像自己認識成立の機序を探るための2つの実験を、仙台と京都の生後12〜31ヶ月の幼児56名を対象に行った。第1の実験では、古典的なルージュ課題を通過した子どもは、通過できなかった子どもに比べて、鏡を見ながら手足を動かす(自己探索)時間が有意に長いことがわかった。さらに、鏡に見立てた映像に遅延(1秒)を加えた場合のルージュ課題通過率は、遅延なしの場合に比べてやや低い傾向が見出された。次に、被験児が鏡(スクリーン)の前でジャンケンを行う第2の実験では、自己映像より他者(同年代の他児)映像の方が、またマスク(明瞭度低い)映像よりリアル映像の方が注視時間が有意に長かった。鏡を見ながら手足を動かす回数と時間は、マスキングの有無にかかわらず他者映像より自己映像の方が有意に多いことがわかった。以上のことから、鏡像自己認識においては、顔認知成分だけではなく、自己探索の際に見られる運動感覚と視覚的フィードバックの同時性(時間的随伴性)などの視覚運動成分が重要な役割を担っていることが改めて示された。また、鏡像自己認識は、1歳半から2歳前後といわれる古典的ルージュ課題の通過可能年齢以前の段階にその萌芽が見られ、本研究によりそれを把握するための行動的手がかりについての基礎データが得られた。
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