研究概要 |
割合錯誤、即ち、言語で表現された不確実性の表現が、様々な割合の間で異なる印象を与える現象が、本会代の研究対象である。初年度においては、その中で比率バイアス、即ち「X分のY」のような確率的情報の評価に於いて、「100X分の100Y」の方が、「X分のY」よりも実現見込みが高く判断される傾向を分析した。その成果は、次ページの学会誌投稿論文に掲載した。 心理実験を行い、被験者のリスク知覚の感覚が、リスクとの経験によってどのように変化するかを分析した(次頁Hirahara, Yamagishi, & Wada, 2008)。 また、数値ではなく、言語的な表現の場合においても、同様のバイアスが出る予備実験も行った。言語的表現を確率に翻訳する課題では、「表現1」が「表現2」よりも高いと判断された一方で、各々の言語表現で現金が当たる見込みを教示した仮想ギャンブルの選択に於いては、「表現1」の方が好まれる現象を観察した(次頁Honda & Yamagishi, 2008)。 上記に加えて、言語による確率表現を、心理尺度構成法によって分類し、従来定性的に指摘された性質を、実証的・計量的に示した(次頁Nakamura & Yamagishi, 2008)。
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