研究課題/領域番号 |
18330157
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
喜多 伸一 神戸大学, 文学部, 助教授 (10224940)
|
研究分担者 |
宮内 哲 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報グループ, 主任研究員 (80190734)
渡邊 洋 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 主任研究員 (20358386)
松本 絵理子 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (00403212)
|
キーワード | 視覚 / 聴覚 / 触覚 / 運動 / 操作 / 心理学実験 / 感覚統合 / 物体認知 |
研究概要 |
本研究の目的は、ヒトの運動系が感覚系に及ぼす影響を実験的に調べることである。実験を通じ、運動系の影響が、感覚系のどのくらい初期の過程にまで及んでいるかを解明する。実験方法としては心理学実験、脳機能画像解析、バーチャルリアリティを用いる。本年度に行った実験は次の4種類である。 1.視覚探索非対称性 視野内の多数の図形から特定の図形を探索する課題において、探索すべき図形とそれ以外の図形を交換すると探索効率が低下するという、探索非対称性と呼ばれる現象がある。この現象で特徴的なことは、探索すべき図形の処理効率が悪いときの方が、探索効率が向上することである。この奇妙な現集について、線分方位を図形特徴として選び、円柱レンズで一時的に乱視状態においた観察者を用いた実験を行い、探索効率が線分方位に対する処理精度で決定されることを明らかにした。 2.触覚的物体認知 注意を移動するときに、同じ物体内での移動の方が異なる物体間での移動よりも高速であるという、同物体効果が視覚で起きることが知られている。この現象が触覚でも起きることを調べるため、実験装置をカスタマイズして視覚と触覚に関する実験を行い、同物体効果が、視覚、触覚、視触覚のいずれの平態でも起きることを明らかにした。 3.手の運動方向と視覚的運動認知 自分の手の運動制御と眼で見ている物体の運動知覚が関係するかどうかを訓べるため、双安定特性を持つ格子運動図形を用いて運動制御と運動知覚の関係を調べる方法を開発した。 4.自己顔の認知 自分の顔というきわめて熟知性が高い図形を用いた視覚探索実験を行い、自分の顔の記憶表現が顔の正像ではなく鏡像であることを、探索非対称性に注目することにより明らかにした。この結果は国際学会ECVPで発表するとともに、査読誌『基礎心理学研究』に投稿し、現在査読中である。
|