研究概要 |
本研究は,ヒトの運動系が感覚系に及ぼすことを調べることを目的としている。実験を通じ,運動系の影響が感覚系のどのくらい初期の過程にまで及んでいるかを調べる.実験方法としては,心理学実験,脳機能画像解析,バーチャルリアリティ実験,リハビリテーション実験を用いる.本年度に行った実験は次の3種類である. 1.視聴覚交互作用 視覚情報と聴覚情報の空間的位置が近接しているほど視聴覚交互作用は強くなるという従来の常識を覆し,空間的近接性よりも空間的明確性が重要であることを示した.結果はIEICE Transaction on Information and Systemsに投稿し審査を経て掲載された.また,時間順序知覚に関しては,聴覚系の方が視覚系よりも処理精度が高いので,聴覚が視覚に影響するが逆方向の影響はないことが知られているが,この関孫はベクションを導入すると一変し,聴覚的な時間順序判断は視覚情報により覆ることをバーチャルリアリティ実験により示した.結果はPerceptionに投稿し審査を経て掲載された. 2.視線知覚 他者の視線を知覚するメカニズムを心理学実験により調べた.その結果,対面する他者の視線方向は目の前の物体に向かうようバイアスがかかることを明らかにした.結果は「日本顔学会誌」に投稿し審査を経て掲載された.また,対面する他者の視線方向に注意が引きつけられることを,変化検出課題を用いて明らかにした.結果はPsychologiaに投稿し審査を経て掲載された. 3.触覚的物体認知 心理学実験,脳機能画像解析,リハビリテーション実験を用いて,触覚的物体認知を調べた.触覚的な注意の移動を検出する装置を考案・設計し,反応時間を計測する心理学実験を行った.結果は投稿中である.またリハビリテーション支援機器を用いた実験を行い,反応時間を計測する心理学実験と,NIRSによる脳機能画像解析実験を行った.心理実験の結果,リハビリテーション支援機器の有効性が明らかになった.結果は投稿中である.
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