研究課題/領域番号 |
18330160
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島途 健一 東北大学, 大学院国際文化研究科, 教授 (70128429)
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研究分担者 |
大村 泉 東北大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50137395)
窪 俊一 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (50161659)
花登 正宏 東北大学, 大学院文学研究科, 教授 (60107175)
阿部 兼也 東洋大学, 文学部, 教授 (40005773)
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
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キーワード | 魯迅 / 解剖学ノート / 藤野厳九郎 / 留学生教育 / 中国 / 小野豊三郎 / 明治期の医学教育 / 仙台医学専門学校 |
研究概要 |
1.『解剖学ノート』の解読・翻刻と藤野厳九郎の添削内容の特質解明 魯迅『解剖学ノート』のうち『脈管学ノート』を中心に解読・翻刻作業を進め、魯迅の地の文だけではなく、それへの藤野厳九郎を中心とする第三者の手入れを逐一具体的に解読しつつ、術語訂正の具体例や『藤野先生』で言及されている解剖図に対する訂正の性格、措辞修辞、句読点への訂正、ニュアンスの補足、内容の詳細化、臨床に関する注意事項、ラテン語やドイツ語の訂正、名称の補足等を具体的事例に即して検討し、魯迅に多大な感動を与えた藤野の教育方法とその精神の核心部分を明確にした。その際、同級生小野豊三郎の解剖学ノートと比較して魯迅『解剖学ノート』の随所に見られる省略、簡略化を補い、原典ならびに当時刊行されていた解剖学翻訳書と照合することによって、魯迅『解剖学ノート』の記述のそもそもの出所、従ってまた藤野厳九郎の解剖学が依拠した原典を特定した。これに付随して、(1)魯迅「解剖学ノート」の構成解明、(2)当時の仙台医学専門学校のカリキュラム、(3)授業方法、採点評価方法等を調査研究した。 2.藤野厳九郎の医学と生涯 藤野厳九郎が母校の愛知医学校でどのような医学を学んだのか、藤野の研究成果にはどのようなものがあり、その水準は当時の学界でどのような位置にあったのか、またその生涯はどうであったのか、等を藤野厳九郎記念館(福井県あわら市)所蔵の原資料を調査し、また関係者に聞き取り調査を行うことによって解明した。 以上の研究成果をとりまとめ、『藤野先生と魯迅』(東北大学出版会、2007年3月、全224頁)として公刊した。
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