研究概要 |
研究代表者と植竹丘(連携研究者・東京大学大学院生)を中心として,前年度において国立公文書館より収集した昭和46年の中央教育審議会答申(いわゆる四六答申)の審議経過資料の目録作成作業を行った。四六答申にいたるまでの経過について会議出席者や会議提出資料の内容などを網羅した目録が整備され,具体的な審議経過の全貌を明らかにすることができた。さらに,関連する統計資料等を研究代表者及び連携協力者が作成し分析を行った。地方教育委員会制度事務局組織構成の分析については本多(研究代表者)が『地方教育行政調査報告』等をもとに統計資料の整理を行った。また保護者等による私費負担解消に関連する諸制度の分析については青木栄一(連携研究者・国立教育政策研究所)が『地方教育費調査報告書』等をもとに経年データを整理して分析を行った。 比較制度論的な観点からは徳久恭子(連携研究者・立命館大学)が上記の四六答申資料を用いて,教育改革と日本の生産レジームとの関連から分析を行った。四六答申のアイディアは,当時の日本の生産レジームを転換しようという意図と親和的であったことを指摘し,そうした生産レジームの転換が行われなかったからこそ日本型の労働市場が存続したことと,それが1990年代以降の政治的,社会的環境条件の変化により様々な見直しがなされるのと連動するかのように,四六答申で提示された種々のアイディアが実現していくことの必然性などを指摘し,従来的な四六答申の評価に対して問題提起を行った。これらの成果を『比較制度論を応用した日本型教育行財政システムの生成・展開・再編に関する研究報告書』として冊子にまとめた(平成21年3月)。
|