本研究は、公立-私立、大都市-地方という教育における分化の進行を背景に、地方の公立高校のはたす役割はどのようなものかを、ユニークな教育実践に取り組む公立進学校に焦点を当て、実証的に明らかにしようとするものである。この研究課題に対し、平成18年度は、インタビュー調査と質問紙調査を行った。インタビュー調査は、合計11校に対して行われた。調査対象は、各校の校長・教頭、教務主任・進路指導主任・生徒指導主任、および生徒であり、48人の教員と20人の生徒から、一人当たり1時間程度の聞き取り調査を行うことができた。 これにより、2002年新学習指導要領、高校入試の大学区化、少子化に伴う生徒獲得競争の激化が、受験学力の向上だけにとどまらない、各校の特色をなすプラス・アルファの教育の契機となっていることが明らかになった。また、生徒はそうしたプラス・アルファの教育を、社会貢献との関連で捉えており、勉強する意味づけに影響を与えていることが確認できた。 これらの聞き取り調査のデータをもとに質問紙を作成した。質問紙調査は、12校の高校の3年生を対象に、およそ3400人から回答を得ることができた(実施時期は平成18年10月以後)。その後データの入力、クリーニングを行った。このデータについては、平成19年9月開催の教育社会学会を目標に現在分析を進めている段階である。
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