研究課題
本年度は、昨年度の調査結果を踏まえて、フィンランドの中等教育、韓国の中等教育、アメリカの中等教育の追加調査を行った。昨年度調査に基づいて、フィンランドの新しい中等教育モデルは、シュタイナー教育に影響を受けたホリスティック中等教育モデルとして特徴づけられるのではという仮説を立て、その仮説を検証するために、今井、山村、木村がフィンランドの国家教育委員会、ヘルシンキ大学評価センター、ユヴァスキュラ教員養成学部、シュタイナー学校などを訪問した。その結果、仮説の正しさをある程度裏付けることが出来た。また、中等教育の韓国モデルの特徴をさらに明確化するために、尾中が、韓国の6校の中等学校(ソウル工業高等学校、ソウル女子塵業局校、ソウル科学高等学校、ホンチョン情報高等学校、チャンヨン中学校、スゥォン外国語局等学校)とスウォン市教育庁などを訪問し、韓国は現在、体験主義重視の中等教育を構築しつつあることが明確となった。さらに、アメリカに関しては、田中が、高校教育のバイパスの発展がアメリカ中等教育の特徴であるとの仮説のもとに、ポートランド・コミュニティー・カレッジを訪問し、機会に恵まれない子どもたちに高校教育と短大教育を提供するGateway to Collegeプログラムと優秀な高校生をリクルートして高校教育と短大教育を提供すると共に、4年型大学への編入についても後捏しするMiddle Collegeプログラムの調査を行った。その結果、高校と大学をまたぐオーバーラッピング・ビジネスが開花していることが判明した。現在、昨年度の調査結果も含めて、中等教育の再定義の方向として、ホリスティックモデル、バイパスモデルなどの類型を立て整理し、研究報告に向けた作業を進めているところである。
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