研究課題/領域番号 |
18330181
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
竹内 洋 関西大学, 文学部, 教授 (70067677)
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研究分担者 |
稲垣 恭子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40159934)
細辻 恵子 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (90199505)
目黒 強 神戸大学, 発達科学部, 講師 (70346229)
末冨 芳 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (40363296)
佐藤 八寿子 神戸ファッション造形大学, ファッション造形学部, 講師 (10412115)
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キーワード | 教育社会学 / 高等教育 / 学生文化 / 歴史社会学 / 文芸社会学 / 学生生活調査 |
研究概要 |
本研究は、1930年代と1960年代という2つの高等教育拡大の画期を対象として、量的データを中心に、小説、日記、旨自伝、インタビューなど質的なデータを用いて各時代の学生文化の特質をとらえ、現在におよぶ日本における学生文化の展開と変容について明らかにすることを目的としている。 本年度は、3つの作業班に分かれてそれぞれの分野の研究を進めるとともに、研究会を開催し、各分担者の研究経過を報告して全体の研究計画の調整をはかった。各作業班の主な成果は以下のとおりである。 1.文部(科学)省および各大学が実施した学生生活調査の収集および分析:関西にある私立大学の学生生活調査について、1963年〜1988年の結果表の再集計および1998〜2005年の個票データの分析。読書傾向や学習時間を東京大学や京都大学の学生生活調査の結果と比較した結果、中堅私立大学のキャンパス・カルチャーは大学進学率の上昇にともなって、むしろ東大・京大のキャンパス・カルチャーよりもマス・カルチャーとの類似性が高まってきたことが示された。 2.学生小説、キャンパス小説の収集及び分析:1930年代の新聞における学生の自殺報道記事を収集し、「自殺学生像」の構築や変容についての分析に着手した。 3.女子の学生文化に関する分析:高等女学校の卒業生調査から「女学校文化」は、その思想性や社会性から距離をおいた特性が羨望と忌避の源であることが示された。一方、近代日本社会において、特に初期の女子の中・高等教育機関を牽引したミッション・スクールは、西洋知の発信基地としてあこがれの存在でもかり、かつ、「シャドウ」として近代日本社会のイデオロギーを照射していたということが示された。男子学生文化の「欠如」とも、また、男子学生文化よりも崇高で純粋な文化とも捉えることのできるこのような女子学生文化は、学生文化や学生文化論に対する新たな分析視角でもある。
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