研究課題
国際的な大学競争というと、オリンピックのように各国の頂点にたつ大学同土の競争が想定されがちである。実際、自国の「国際級大学」を支援する政策は国内外でみられるし、いわゆるグローバル化にともなってそうした政策を求める声も高まっている。しかしそれだけでなく、国際的な大学競争は、むしろ各国の中堅大学をまきこんで行われている。国際機関における国際的な質保証の議論や、質保証機関の国際的ネットワークなどが課題としているのは、各国のいわば普通の大学がいかなる質を維持しているかという問題である。こうした状況をふまえて、各国の「普通」の大学がいかなる質を維持しているか、それを支援する政策はどのようなものかを検討する。本年度は以下の活動を行った。(1)大学経営に関する国内外の先行研究を検討した。(2)大学教育の質を向上させる重要な手段として、初年次教育、一般教育の改革、教員を対象とした研修、学生調査を中心とした機関研究などをとりあげた。米国を中心とした優良事例の調査を行い、その成果の一部を学会や文部科学省の勉強会において報告した。(3)高等教育の管理運営に関するOECDプログラム(IMHE)の活動状況を実地に調査した。さらに、同プログラムが実施した大学のガバナンスに関するセミナー(8月)、大学財政に関するセミナー(9月)、2回の国際会議(9月と12月)などに参加して情報収集と意見交換を行った。(4)大学の地域貢献については、狭義の経済貢献にとどまらず、社会・文化・環境など非経済的な分野における高等教育機関の貢献に注目する最近の政策および大学組織の動向について、国内外のいくつかの事例を調査した。
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高等教育研究 第10集