研究課題/領域番号 |
18330186
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
岡野 雅子 信州大学, 教育学部, 教授 (10185457)
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研究分担者 |
伊藤 葉子 千葉大学, 教育学部, 助教授 (30282437)
倉持 清美 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30313282)
金田 利子 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (60086006)
長沼 豊 学習院大学, 文学部, 助教授 (10316929)
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キーワード | ふれ合い体験学習 / 中学生・高校生 / 幼児 / 幼稚園・保育所 / 家庭科 / ボランティア活動 / 発達を学ぶ |
研究概要 |
我が国において中学校・高等学校の家庭科は、学校教育の中で保育や人間の発達について学ぶ唯一の教科である。最近の『学習指導要領』では保育領域の充実が図られ、幼児とのふれ合い体験学習に取り組むよう努めることが明記された。その教育効果については多くの研究が情意面において変容したことを示唆している。しかし、人と人とのかかわりは、互いに作用し合い響きあってこそより良いかかわり合いが成立し互恵的な関係となる。そこで、幼児とのふれ合い体験学習について生徒側と受け入れ側の両方から、その意義について検討した。また、中学生が幼児とふれ合うことによる「発達」についての学びを検討した。さらに、幼稚園・保育所では家庭科の授業以外にも様々なふれ合い体験を受け入れているが、受け入れ側の意識を明らかにすることを試みた。 (1)学校でのふれ合い体験には、家庭科での保育体験学習、総合的学習でのキャリア教育、ボランティア体験の3種類があるが、全国の幼稚園・保育所(251箇所)を対象にした調査結果から、約9割の園が受け入れており、中学の職場体験、高校の職場体験、中学の家庭科の順に多かった。活動内容は「幼児と遊ぶ」が最も多く、幼児にとっても生徒にとっても良い経験となると肯定的な意見が多かった。 (2)中学生と幼児の双方に対するインタビュー資料からは、中学生は「幼児の発達を理解する」「幼児と関わる社会的スキルを身につける」「自分の生い立ちを振り返る」「自己効力感が高まる」などが出された。一方、幼児にとっての教育効果は「疑似兄・姉と遊びの経験をする」「いつもよりダイナミックな遊びができる」「いつもとは別の面を発揮する」「発達の次の段階に気がつく」などであった。 (3)幼児とのふれ合い体験後の中学生の感想文から、発達に関する気づきとして「いまの自分の成長を確認する」「幼児の年齢差を実感」「小さい子どもは何もできない存在ではないと理解した」などが認められた。
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