(1) 家庭科は、戦後の学校教育において保育教育を担ってきた実績を有しているが、昨今の子どもが育つ環境を考えると、なお様々な課題が存在しているといえる。昨年3月に告示された新『中学校学習指導要領』では、保育領域の一層の充実が図られた。近年では「保育体験学習」を実施している中学校・高等学校は急増しているが、その実情は送り出す(中学・高校)側も、受け入れる(幼稚園・保育所)側も様々であり、教育プログラムは十分に系統立っているとは言い難い。そこで、家庭科の「保育体験学習」の実態を把握し、課題を整理し明確化する。 (2) 「幼児とのふれ合い体験」は、家庭科のみならず、総合的学習の中の職場体験学習(キャリア学習)やボランティア活動などさまざまな位置づけのもとに行われている。しかし、家庭科は保育に関する知識・技術を中学・高校と一貫して教える役割を果たしてきたことから、家庭科が基軸となって「幼児とのふれ合い体験学習」を主導していくべきであると考える。本研究は、そのための優れたカリキュラムの開発に向けて考察を行う。 (3) 「幼児とのふれ合い体験学習」を通じて生徒に何が育つのかについて、人間発達の見通しの獲得や子どもに対する行動・態度・感情の変容などについて実証的に検証して明確化する。それらに基づき、総合的に考察を行い、優れたカリキュラムの開発を目指す。
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