研究課題/領域番号 |
18330193
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松岡 重信 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50033709)
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研究分担者 |
寺尾 慎一 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (90117044)
山田 綾 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50174701)
阿部 二郎 北海道教育大学, (函館校)・教育学部, 准教授 (30322861)
中原 忠男 IPU環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (90034818)
清水 欽也 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (70325132)
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キーワード | 教員養成 / 先進国-新興国-途上国 / 学校制度 / 教科活動 / 教科外活動 / フラクタル(自己相似性) / アトラクタル(励起性) / ガラクタ性 |
研究概要 |
平成21年10月に、各分担者の調査は終了した。本研究では、分担者が各国の学校状況や教員養成制度や文化的・歴史的背景を意識しつつ、各国の現実や問題状況を整理することであっだ。 部分的にフィンランドの緻密な教育実習(教員も先輩学生も参加する)の効果が指摘される。学校の様子や子ども達の表情に加えて、カナダの優位性も指摘されるものであった。フィンランドは、PISA学力で世界一とされる国であるが、教師達の専門性と研修は仕事が教科の授業にほぼ限定されている。その意味で教科活動という専門性を高めやすい条件がある。対比的に、日本の教師達の状況は「何でも屋式」の混乱や過剰勤務があるといって良い。「スペシャリスト」としての教師の職務と「ジェネラリスト」としての職業文化が形成されたものといえる。 新興国の中国の学校教育も安定したものと観察された。ただ「自治区」の運営ではまだ若干の混乱と差違がある。内モンゴル自治区・チベット自治区を観察調査したが、統一された中国と言い切れない状況が残っている。特にチベット自治区ではラサ周辺と、周辺遊牧農家の子弟が学ぶ学校との差違がみられた。これには民族性と経済状況がベースにあると言える。 また、ネパールやブータンの途上国で観察された教育関係の状況は日本との比較でも大きく異なるものであった。教員免許制度が必ずしも完成しておらず、加えてネパールでは教員免許を売買するような状況も一部にある。ネパールでは、学校数や教室さらに教室環境(机椅子・照明・黒板)も極めて劣悪である。一部の都市部にみられる私立学校の運営との格差も極めて大きいものである。そして、学校教育の社会的な地位では私学が圧倒に優位である。カトマンズの私学は自前でスクールバスを走らせ、安全性と生徒数獲得を図っている。ブータンの教育は若干の例外教科(歴史・国語のズンカ語)以外はすべて英語で教育されている。PISA学力とは関係ないが宗教的な背景もあって教育システムは安定している。
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