研究課題/領域番号 |
18330197
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
安達 潤 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70344538)
|
研究分担者 |
齊藤 真善 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50344544)
萩原 拓 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00431388)
|
キーワード | 高機能広汎性発達障害 / 対人認知 / 眼球運動 / 感情判断 / 表情 / 音声 / 空間周波数処理 / 動画刺激 |
研究概要 |
平成20年度はASD群を実験群、定型発達群を統制群として3つの実験を行った。一つの実験は平成19・20年度に実施した3画面実験をブラッシュアップした「1画面実験」である。この実験では、話者の音声と聞き手のビデオ画面を合成した動画刺激を用いた。現在の結果として、話者の音声と聞き手のビデオ画面が同時間の刺激の組み合わせであるかどうかの判断に要する時間が遅延する傾向および題遂行中の注視軌跡の組織性が低い傾向がASD群のデータに散見されている。もう一つの実験は表情と音声の感情性を独立にさまざまに組み合わせた動画に対する感情判断実験である。結果、表情単独・音声単独の提示では、正答率と注視分布は両群で変わらないが判断時間はASD群で延長すること、さまざまな感情の表情と音声を組み合わせた動画について、表情感情と音声感情の一致不一致判断を求めた課題では、ASD群で正答率が下がり、判断時間が延長し、口元に対する注視分布率が上がることが認められた。三つめの実験では、空間周波数処理(高空間周波数と・低空間周波数)を施して表情の感情変化率を(30、50%、70%、100%)で統制した動画を用い感情判断課題(笑顔、悲しい顔、怒り顔)を行った。現在の結果として、(1)低空間周波数条件では、悲しい顔に対する正答率が、ASD群は低い傾向にあった。(2)低空間周波数条件における眼球運動データを、「目」「鼻」「口」の三領域に分割して分析したところ、NT群は、全体的処理が要求されるためか、顔の中心、つまり「鼻」への注視時間が最も長かったのに比べ、AS群は三領域問に大きな差がなく、顔の各部分にそれぞれ均等に注意配分を行っていた様子が見て取れた。(3)高空問周波数条件では、正答率、注視回数、注視時間それぞれの指標において、NT群及びASD群の間には差が見られなかった。
|