聴覚認知障害者の聴覚的能力について、英語音声のみならず日本語音声による聞き取り能力を調べた。日本語による実験(模倣に関する実験)のインストラクション(口頭での実験課題の説明)を聞き取らせ、実験課題の遂行にどのような影響が出現するかを検討した。その結果、対象群(幼児、成人)の遂行に比較し、聴覚認知障害者群では聞き返しが優位に多く、課題遂行において順序の違いが顕著であった。課題の説明時に、話速の変化は与えないで、句と句の間のポーズを約1.5倍に伸ばすことで、課題遂行は正確さを増した。 男声と女声の違いによる日本語単音節の聞き取り成績(受聴明瞭度)を測定した。その結果、聴覚認知障害者では、男声による受聴明瞭度が女声による受聴明瞭度より高く、(有為傾向あり)この点も大変興味ある結果であった。今後は、音声の質(男声、女声)による受聴明瞭度の違いに関する検討が必須である。 単に音速に変化を与えるのではなく、加えるべき他のパラメータとして、(1)ポーズ区間の伸張、(2)声質(基本周波数)、が聴覚認知障害者の聞き取りの改善に大きく寄与することが示唆された。
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