研究概要 |
代数多様体の性質とその上のジェットスキーム、弧空間の性質の関連を明らかにするのが研究の目的であった.局所的完全交叉の多様体についてはそれが標準特異点を持つ(resp.対数的標準特異点を持つ、端末特異点を持つ)ことと,ジェットスキームがすべて既約になる(reso.純次元である、正規である)ことが同値であることがMustataらによって示されていた,これらからの自然な類推として、多様体が非特異であることとジェットスキームがすべて有理特異点を持つことが同値になるかと言う問題が提起される.本研究ではこれが成立しないことを、正標数の手法を使って証明した(研究分担者の渡辺敬一氏らとの共著).また,任意の代数多様体に対して普通のdiscrepancyをMather discrepancyに置き換えてmimimal log-discrepancyやlog-canonical thresholdが定義できるが,これが通常のmimimal log-discrepancyやlog-canonical thresholdの公式を、満たしていることを示し、これらの概念をQ-Gorenstein多様体に限らず,任意の多様体にまで拡張できることを示した.Nash問題に関してはtoric varietyの範疇では肯定的な解決が得られる(2003年,Ishii-Kollarによる)ことからわかっているように,toric variety上では弧空間の構造が単純である,これにより、多様体とイデアルの対に対してのNash問題についても肯定的な解決が得られることが期待される.これを証明し、さらに,Nash成分と対応している因子がminimal log-discrepancyを与えることを示した.
|