研究概要 |
(1) 一般の穴あき曲面束の標準的分割とCannon-Thurston写像の研究 擬アノソフ写像をモノドロミーに持つ円周上の穴あき曲面束のCannon-Thurston写像に付随するCannon-Thurston-Dicksフラクタルタイル張りにヒントを得て提案していた標準的分割に関する自然な予想を,A'Campoと共同で特異ユークリッド構造の観点から研究し,予想で登場する辺が曲面上の単純弧であることを証明した. (2) 釜山大学Donghi Lee准教授との共同研究により,以前から心に抱いていた下記の予想の証明に成功した. 予想.K(r)を傾きrの2橋結び目,Sをその2橋分解を与える球面が定めるKの補空間内の4点穴あき球面とする.理想頂点∞またはrを頂点に持つファレイタイル張りの辺に関する鏡映変換全体が生成する群をΓとする.このとき,S上の傾きsの単純閉曲線が結び目補空間内でヌルホモトピックとなるための必要十分条件は,sがΓによる∞またはrの軌道上にあることである. この予想の証明は組合せ群論におけるsmall cancellation thoeryを用いることにより得られた 尚,この予想はMinskyにより一般のヘガード曲面に対する問題へ一般化されているため,本共同研究成果はMinsky提案の問題の解決にもヒントを与えている.
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