研究課題/領域番号 |
18340021
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
津田 一郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
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研究分担者 |
由利 美智子 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70174836)
辻井 正人 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20251598)
行木 孝夫 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (40271712)
小室 元政 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (00186818)
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キーワード | カオス的遍歴 / 高次元力学系 / on-off間欠性 / in-out間欠性 / ミルナーアトラクター / 出口集合 / 入り口集合 / カオス的不変集合 |
研究概要 |
高次元力学系のアトラクタは必ずしも低次元力学系のアトラクタと同様な構造を持つとは限らない。擬似アトラクタ間のカオス的な遷移現象の一つがカオス的遍歴である。カオス的遍歴の遷移過程においては、比較的低次元の擬似アトラクタの近傍に軌道がしばらく滞在し、高次元のカオス状態を経て別のあるいは同じ擬似アトラクタの近傍に遷移することを繰り返す。あるクラスの神経細胞の数学モデルを構築しそれらの最近接相互作用による結合系でカオス的遍歴を見出した。そこでは、同期解と二種のメタクロナール波とさらにはそれらを結合する振幅の小さなカオス軌道の三者の複合体がミルナーアトラクタになり、遷移過程はこのミルナーアトラクタとクライシスによって生じる大振幅のカオスとの間の遷移である。今年度は特にin-out間欠性とon-off間欠性の存在領域においてそれらの生成機構を調べ、定量化した。不変集合への接近の時系列と不変集合までの距離の分布にべき則が見られた。また、位相応答関数を調べ、同期・非同期転移の主たる原因を調べた。つぎに、ロジスティック写像の大域結合形に見られるカオス的遍歴をカオス的な不変集合を中心とした遷移過程とみなして解析した。出口集合と入り口集合が不変集合内に存在し、出口集合から出た軌道が部分同期解の一つに吸引され近傍で不安定軌道に乗る。そこから、さらに別の部分同期解にいたるか不変集合の入り口集合に接近するかは複雑な軌道の構造に依存する。
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