研究概要 |
本研究は次の2つのテーマにわたる。 (1)可積分スピンチェインの相関関数の代数的表示 (i)これまでに得られていた非斉次チェインの場合の表示を拡張し、XXZ, XYZチェインに対して、物理的に興味のある斉次チェインに適用可能な表示を得た。 (ii)XXZチェインの場合,代数的表示に現れる作用素Omegaが、フェルミオンの消滅演算子の2次式で表せることを見いだした。さらに生成演算子を、ある種の局所性を満たすように構成した。それらを自明な(擬)局所作用素に施して得られる作用素に対しては真空期待値が行列式の形で明示的に求められることを示した。結合定数の一般の値についてフェルミオン的な構造が存在することは予期しなかった新たな展開である。 (2)共形場理論の状態空間の基底と指標 共形場理論の基底と指標に関する組み合わせ的研究を継続し、以下の結果を得た。 (i)Virasoro極小系列表現M(p,p')において1<p'/p<2の場合には(2,1)プライマリー場の成分により単項基底が構成できる。p'/p>2の場合について単項基底の予想を立て、ユニタリ系列の場合に証明を与え、また予想が指標を正しく与えることを確認した。 (ii)sl(3)の冪零部分代数のカレント代数に関する主部分加群(\hat {sl}(3)の可積分表現の最高ウエイトベクトルから生成される部分加群)に対してWey1-Kac型の指標公式を証明し、それが量子戸田ハミルトニアンの固有関数になることを示した。
|