研究概要 |
研究代表者と海外共同研究者であるOrsted教授によって構成した「D型の群の極小表現のL^2モデル」の解析的研究を行った。特に、佐藤超関数の発想を無限次元空間に適用し、共形変換群O(n,2)の極小表現を縮小作用素のなす複素解析的半群の境界値として捉え、その複素解析的半群の具体形を決定した。これは、古典的なHermite半群の一般化した定理を与える。さらに、その特殊値として「反転ユニタリ作用素」の積分公式を決定した。その成果を、Howe教授の還暦記念研究集会で招待講演を行い、約60ページの論文にまとめた(真野元氏と共同)。 上記の研究に加え、最高ウェイトをもたない極小表現の解析、不連続群の変形、可視的作用を用いた無重複表現の統一理論の研究を行った。 これらの結果に関して、別記の9本の論文を公表し、さらに、ドイツのGunzburgにおける『表現論における超局所解析と幾何的手法』および中華人民共和国の北京における『局所対称空間と離散群の幾何と解析』での連続講演や、Abels教授の還暦研究集会(ドイツ),Aarhus(デンマーク),Darmstadt(ドイツ),Strasbourg(フランス),Paderborn(ドイツ)、筑波大学など、国内外20箇所で延べ50時間あまりの招待講演の形で成果を発表した。 また、Schmid教授(Harvard大学)とYang教授(Inha大学)とで主催したシンポジウムの成果報告として、共同編集で『表現論と保型形式』についての論文集の執筆および編集を行った。この論文集はBirkhauser社のProgress in Mathematicsから2007年夏に出版予定である。 さらに、次年度以降の研究に向けた長期的なインプットとして、京都大学数理解析研究所において"Lie Group and Representation Seminar"を主催し、リー群論や表現論、不連続群論などに関する最先端の成果について京都・大阪の専門家が研究交流する場を設けた。本年度は20人の海外からの講演者を含む延べ40時間あまりのセミナーを行った。さらに、日本数学会と数理解析研究所の支援を受けて、Bloch, Lions, Voisin, Smale等を招いた『第1回高木レクチャー』を主催し、その予稿集を出版した。
|