研究分担者 |
若山 正人 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (40201149)
藤原 英徳 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (50108643)
梅田 亨 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00176728)
伊藤 稔 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60381141)
伊師 英之 横浜市立大学, 国際総合科学部, 助手 (00326068)
|
研究概要 |
分担者の伊師英之は,局所コンパクト・ユニモジュラ群Nとその自己同型群Aut(N)の閉部分群Hとの半直積群G考え,N上の2乗可積分な函数の空間に自然に実現されるGのユニタリ表現の部分表現で既約なものを考察し,それらに付随するウエーブレット変換を研究した.また既約部分空間を,Cauchy-Szego積分に類似な特異積分で特徴づけた。さらに伊師は,分裂型可解リー群の複素解析的誘導表現のユニタリ化可能性について論じた.これはエルミート型半単純リー群の最高ウエイト表現のユニタリ化可能性についての結果の一般化である.2乗可積分な空間に限ると,それは分担者藤原のかつての研究により非消滅条件がわかっているが,たとえその2乗可積分の空間が消滅しても,それとは別に,非自明な再生核部分空間が存在することがあって,それの完全な記述について伊師は報告を行った. 分担者梅田亨は,古典的なカペリ恒等式や普遍包絡環のカペリ元が中心的であることの,外積代数を用いた純計算的な証明を与えた.そのことにより,非可換なエントリーを持つ行列式の積公式のメカニズムを明らかにした.伊藤稔は,直交リー環の普遍包絡環において,二通りに定義される元が実際には一致することの直接的な証明を与えた.二通りの定義で与えられる元とは,和地氏によるコラム行列式を用いたカペリ行列式タイプの元と,梅田・伊藤両氏による対称化された行列式を用いて定義される元のことである.このことにより,一方だけでは明らかではなく,他方を用いると明らかになる性質である,その元の中心性や既約表現における固有値の計算等に新たな証明が得られたことになった. 代表者である野村は,本年度から採択となった本科研費による研究を意義深く,また実のあるものにするために,これまでの研究の成果,及び今後に行うべき研究の方向を検討したものをまとめた.また興味ある等質非対称開凸錐の系列について,国内外の研究集会やセミナー等で発表し,非対称な等質ジーゲル領上の解析学の新たなる展開への一歩を踏み出している.
|