研究課題/領域番号 |
18340044
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
辻井 正人 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20251598)
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研究分担者 |
由利 美智子 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70174836)
新居 俊作 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (50282421)
石井 豊 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (20304727)
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キーワード | 力学系 / エルゴード理論 / 関数解析 / カオス / ゼータ関数 |
研究概要 |
本年度は負曲率多様体上の測地流などを含むアノソフ流のクラスである接触アノソフ流について研究を進めた。結果としてそのようなアノソフ流に対する転移作用素がある超関数のなすヒルベルト空間上で擬コンパクトというスペクトル的な性質を満たすことを示した。さらにそのときの本質的スペクトル半径がアノソフ流の不安定部分空間上の体積の拡大率の-1/2乗で評価できることを示した。この成果はこれまでDolgopyatなどによる相関の減衰の評価を大幅に改良するものである。この成果を2月にマルセイユで開催された国際研究集会"FROM DYNAMICAL SYSTEMS TO STATISTICAL MECHANICS"での連続講演で証明の概略を含めて発表した。現在、結果を論文"Quasi-compactness of transfer operators for contact Anosov flows"として取りまとめて、本年度中に公開を予定している。さらに昨年度の研究で得られていた円周上の拡大写像の懸垂流に対するゼータ関数についての結果を接触アノソフ流に対して拡張できることを確かめた。また、九州大学において力学系についてのセミナーを九州大学における分担者である新居、石井および岩崎教授とともに立ち上げ、国内外から優秀で特徴のある研究を行っている研究者を招いて研究情報の交換を行った。さらに1月に日本大学軽井沢研修所(長野県)において国内の力学系研究者を集めて研究集会を行った。これらは本研究課題の研究を推進するとともに、研究成果を広く知らせるためにも非常に有意義であった。
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