研究概要 |
本研究の目的は力学系理論における関数解析的な手法, 特に超関数やフーリエ解析を用いた方法について研究することである.基礎理論を構築するとともに, その応用として「相関の減衰」, 「部分双曲的力学系のエルゴード的性質」や「力学系のゼータ関数」などの関連する力学系の課題を研究する.基礎理論については非等方的ヘルダー・ソボレフ空間をより一般化した(超)関数の空間について考察を進める.また, 相関の減衰については特に双曲的な連続力学系の場合について深く研究し, セルバーグの負定曲率閉曲面の測地流についての結果に対応する結果を示し, さらにそれを一般化することを目標とする.また, 部分双曲的な力学系の物理測度について, 生成的な条件の下で, その一般化した意味での特異台の構造についての研究を進める.特に, Shub による安定エルゴード性についての予想を肯定的に解決することを目指す.さらに, 九州大学および日本国内における力学系理論研究の基盤を整えることは今後の研究の持続的な発展を考える上で重要であり, 若手研究者の支援と他分野の研究者の交流を進める.
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