研究課題
京都三次元分光器第2号機(3DII)をすばる新補償光学システム(AO188)に接続するために、(1)光学的インターフェイスと(2)機械的インターフェイスの設計/製作を進めた。(1)については、AO188に送る波長域と3DIIで用いる波長域を鋭く分けるためのダイクロイック鏡の設計に成功した。ダイクロイック鏡の表裏を完全に平行にした場合に3DIIへ透過してくる光束に対して非点収差が生じる問題については、微小角度平行からずらした設計にすることにより解決した。(2)については、3DIIを設置/退避しやすくするための回転機構を含めて設計・製作を行った。これらの作業と並行して、3DIIの維持とこの装置を用いた共同観測・論文執筆にも努めた。例えば、重力レンズ天体を面分光観測した結果を論文として出版した。私たちと天体(超巨大ブラックホールに起因する活動性を示すクェーサなど)との間に別の天体(銀河など)が存在すると、間にある天体の重力の影響を受けて、奥にある天体が多重像となって観測される現象だ。この現象を利用すると、間にある天体の見えない質量を含めた質量分布の議論が可能となり、一方では、奥にある天体の極微の構造が引き伸ばされて空間分解できるようになる。この研究テーマは、3DIIのAO188への接続が成功した場合には即応用したいテーマである。
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The Astrophysical Journal 660巻・2号
ページ: 1016-1022
Science Perspectives for 3D Spectroscopy, Eso Astrophysics Symposia European Southern Observatory
ページ: 93-97
New Astronomy Reviews 50巻・4-5号
ページ: 358-361