研究概要 |
我々のグループでは二重ベータ崩壊・暗黒物質(DM)探索という超稀現象探索実験として、フッ化カルシウム(CaF_2)シンチレータを用いたCANDLES計画を進めている。本研究課題ではこのCaF_2結晶に含まれるバックグラウンド(BG)低減研究としてシンチレータの内部放射性不純物低減と、シンチレーション特性の制御によるBGの低減を進める。 (1)結晶内放射性不純物の低減。 CaF_2結晶に含まれる放射性不純物(U,Th)の低減を図るべくいくつかの基礎研究を行った。これまでの研究で結晶原料であるCaF_2パウダー、及びさらにその原料であるカルシウム塩の放射性不純物濃度の低減が重要であることがわかっている。そこで、比較的安価かつ大量に精製可能であると考えられるいくつかの手法を用いてパウダーを処理し、放射性不純物濃度を測定した。この測定において、ICP-MS、半導体検出器、溶融品を用いたシンチレーション検出器の手法を利用することにより従来に比してより効率的な測定手法を確立した。 (2)活性化剤を添加したCaF_2結晶の発光量・消光係数測定 一般的にシンチレータの発光量などの特性はドープする活性化剤の種類及び濃度によって変化することがわかっている。本年度は4種類の活性化剤を、濃度を変えて添加したCaF_2結晶を製作した。また測定装置の高電圧電源系の整備も行った。それぞれの透過率や発光波長スペクトルを測定するとともに、CANDLES Iプロトタイプ検出器と標準線源を用いて発光量の測定も行った。引き続き消光係数の測定を進めている。 残念ながら今年度製作のサンプルでは何もドープしない物に比べて発光量の増大は認められなかったが、透過率測定などで得られた知見を基に更に添加剤の種類・濃度を変えたサンプルを製作・測定していくことを計画している。
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