研究課題
CERN-LHCでの7+7TeVの陽子衝突実験において最前方に散乱されてくる中性粒子(中性パイ→ガンマ線、中性子)を測定することは、実験室系に換算して10^<17> eV領域の相互作用を探ることに値する。超高エネルギー宇宙線が大気中で起こす相互作用の主な成分は、正にこの最前方散乱に対応する。最高10^<20> eVに達する宇宙線観測では、そのエネルギー決定等でシミュレーション計算に頼るしかないが、そこで使われる相互作用モデルの検証を目的として、LHCでの最前方散乱粒子測定実験LHCfを立ち上げた。2008年度には、プラスチックシンチレータとタングステンによるサンプリングカロリメータと、シンチファイバーによる位置測定装置を組み合わせたLHCf検出器の準備も整い、LHCのATLAS実験のための衝突点Point1から140m離れた測定地点に装置を設置して、LHC実験の開始を待つ状況まで順調にこぎつけた。2008年9月に5+5TeVの陽子衝突を目指した加速器の試運転が行われた。その直後に加速器系のトラブルが生じ、LHC加速器の修理が完了して実験が再開するのは2009年の見通しとなっている。残念ながら、本研究の最終年度中にデータ取得まで至らなかったが、LHCfはLHCの本格稼働の初期にデータを取得して、その成果を得る予定になっている。本研究が科学研究費補助金に採択されたことによって、これまでは推測でしかなかった10^<17>eV領域の相互作用モデルを確固なものすることができるデータの取得に向けて、万全の態勢を整えることができた。最後の重要な実験遂行は、LHCの稼働再開を待たねばならない。
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Journal of Physical Society of Japan 78 Suppl. A
ページ: 125-129
ページ: 173-176
JINST(Journal of Instrumentation, An IOP and SISSA jounal) 3 S08006Electronic Journal(http:WWW.iop.org/EJ/jinst)
Proceedings of 21st European Cosmic Ray Symposium in Kosice, Slovakia (http://ecrs2008.saske.sk/dvd/s7.12.pdf)
http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/~lhcf/