研究課題
前年度の研究を基盤にして、中性子による時間反転実験を行うために、純鉄磁化フォイルによる中性子偏極と偏極解析の研究を行った。スパレーション中性子源からの中性子を中性子ガイド管で遠く離れた純鉄フォイルまで導き、電磁石で純鉄フォイルを磁化させ、内部場による磁気ポテンシャルで中性子スピンを偏極した。そして、磁場勾配のある領域に導き、高周波磁場による断熱通過法で、中性子スピンを反転した。その後、2番目の純鉄磁化フォイルに導き、スピン反転に伴う中性子透過率の変化から中性子偏極を求めた。電磁石の磁場の強さを変化させると、中性子偏極の大きさが変わる。純鉄内の磁化は、外部磁場が上昇するとともに飽和していくが、最初は、磁区の境界がずれていき、その後、各磁区の磁化が、磁場方向に回転しながら揃っていく。中性子スピンが磁区に入ると偏極するが、次の磁区での磁化の方向がずれていると、減偏極されてしまう。よって、純鉄磁化フォイルで得られる中性子偏極は、電磁石の磁場とともに増大していく。今回の研究の結果、600Gの磁場で中性子偏極が飽和することを見いだした。次に、時間反転実験で重要となるラムゼー共鳴装置の開発実験を行った。磁気シールド内に一様な磁場を発生する球面コイルを設置し、その中に中性子容器と高周波コイルを設置し、容器内での中性子偏極の測定を行った。中性子容器壁での中性子偏極の劣化があることを見いだした。
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