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2008 年度 実績報告書

厳密なカイラル対称性をもつ格子理論による量子色力学の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18340075
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

橋本 省二  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90280510)

キーワード素粒子論 / 格子QCD / カイラル対称性
研究概要

本研究計画は、格子ゲージ理論のなかでも厳密なカイラル対称性をもつ定式化を用いた量子色力学(QCD)の大規模シミュレーションにより、QCDのカイラル極限での性質を研究するものである。厳密なカイラル対称性をもつ格子上のフェルミオン定式化はオーバーラップフェルミオンと呼ばれ、その大規模シミュレーションを実現したのは我々のグループが世界で初めてであった。当初進めてきたアップおよびダウンクォークの真空偏極の効果を取り入れた2フレーバー・シミュレーションに続いて、平成20年度にはストレンジクォークの効果も含む2+1フレーバーのシミュレーションも完了し、物理量の計算と解析を行う段階に入っている。
本研究により、厳密なカイラル対称性をもつ格子QCDシミュレーションは、これまでにない幅広い応用範囲をもつことが明らかになった。ディラック演算子の固有値分布を詳細に解析することでQCD真空のカイラル凝縮の値を初めて精密に計算できるようになったことに続き、パイ中間子の質量と崩壊定数におけるカイラル有効理論の収束性のテスト、QCD真空のトポロジー感受率を計算する新しい手法の開発とそれを用いたトポロジー感受率の精密計算、ワインバーグ和則を用いた真空偏極からの物理量の導出、核子のストレンジクォーク成分の初めての信頼できる計算など、これまでは不可能だった計算が可能になり、格子QCDの可能性を大きく広げる研究となった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Nucleon sigma term and strange quark content from Lattice QCD2008

    • 著者名/発表者名
      H. Ohki, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review D 78

      ページ: 054502

    • 査読あり
  • [雑誌論文] S-parameter and pseudo-Nambu-Goldstone boson mass from Lattice QCD2008

    • 著者名/発表者名
      E. Shintani, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 101

      ページ: 24201

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Convergence of the chiral expansion in two-flavor QCD2008

    • 著者名/発表者名
      J. Noaki, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 101

      ページ: 202004

    • 査読あり
  • [学会発表] Physics results from dynamical overlap fermion simulations2008

    • 著者名/発表者名
      S. Hashimoto
    • 学会等名
      26^<th> International Symposium on Lattice Field Theory (Lattice 2008)
    • 発表場所
      アメリカ・バージニア州
    • 年月日
      2008-07-16

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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