研究課題
19年度は以下の3点の研究を行った。(a)昨年度制作した2枚の球面ミラーを使った光蓄積空洞を、真空チェンバーの中に入れ、それをKEKの先端加速器試験装置(ATF)の電子リングに挿入しガンマ線の発生実験を行った。19年度中は、まだ各部の性能が十分ではなく設計性能には到達していないが、ガンマ線の発生は確認できた。(b)光蓄積空洞への円偏光レーザー光の蓄積に関する理論的研究を行った。円偏光を蓄積する事は原理的には簡単であるが、ミラー面での位相の変化の為に、高い蓄積度との両立が実現できるかどうかは自明ではない。理論的研究により、2枚の球面ミラーを使った空洞では問題なく蓄積できる事を確かめた。一方、4枚ミラーの空洞では、ミラーが同一平面にある場合は問題を生じる可能性が高い事も確かめられた。(c)4つのミラーを使った光蓄積空洞の基礎実験を行った。4ミラー空洞は、ミラーの設置精度のトレランスを緩和する為に有効であるが、設計やフィードバックの難しさの為に実現は容易ではない。4ミラー空洞に関する理論的研究を行うとともに、市販の部品を組み合わせた簡単な低蓄積率の空洞を制作して、基本的性質についての実験を行った。