研究概要 |
本年度は,検出器システムの基本構成を決定し,必要部品の購入を行った. ガスターゲットからのビームプロファイル光を,イメージインテンシファイア(I.I.)を用いて増幅させる.大強度ビームの場合には,I.I.は高い放射線線量環境下に置かれることから,耐放射線が必要な条件となる.一般的には,I.I.は放射線にょるダメージが少ないとされているが,加速器周辺で使用されている一般的なI.I.にガンマ線を照射させ,使用部材の放射線による劣化を試験した.照射線量は世界有数の大強度加速器で1年あたりに被爆されると予想される1MGyとその5倍高い5MGyとした.その結果I.I.内部の増幅部では,基本性能の放射線劣化は特にみとめられなかったが,特にFOPを使用した出力窓が1MGyで黒色化し,出力光の透過率が著しく低下すること,高圧絶縁ケーブルの被覆が劣化すること,アッセンブリを形成するモールド絶縁材(ジュラコン)が劣化することが判明した.これらのデメリットは,I.I.製造業者の厚意で,改善され,製品化がなされた.本研究での検出器には,この製品を使用することにした.I.I.の検出器としての使用においては,100m程度の遠隔からの制御が必要となる.ゲート時間を300nsとする場合でも,300V程度のパルス電圧が波形を乱さずにI.Iに印加させる電源構成とした. I.I.で増幅されたビームプロファイル光を検出するには,耐放射線性の高いHARPと呼ばれるアモルファスセレニウムを使用した電子撮像管を10m遠隔で動作させることにした.この間の光転送には,石英のみで構成される耐放射線製の高いイメージファイバーを使用することとした.
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