研究課題/領域番号 |
18340090
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中山 正昭 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30172480)
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研究分担者 |
溝口 幸司 大阪府立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10202342)
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キーワード | テラヘルツ電磁波発生 / コヒーレント光学フォノン / ブロッホ振動 / 多重量子井戸 / 超格子 / ワニエ・シュタルク局在 / 光ゲーティング法 / ポンプ・プローブ法 |
研究概要 |
本研究では、半導体量子構造を対象として、フェムト秒パルスレーザー励起によって誘起されるテラヘルツコヒーレント現象(コヒーレントフォノンとプロッホ振動)からのテラヘルツ電磁波発生機構を時間領域コヒーレント振動の観点から解明することを目的としている。平成19年度の研究実績概要は以下の通りである。 1.室温でのGaAs/AlAs多重量子井戸構造におけるコヒーレントGaAs型LOフォノンからのTHz電磁波の増強 テラヘルツ電磁波の時間領域信号は、低温成長GaAs薄膜の上に形成したダイポールアンテナで光ゲーティング法を用いて検出した。コヒーレントLOフォノンからのテラヘルツ電磁波発生の問題点は、温度上昇に伴い強度が著しく低下することである。特筆すべき成果として、室温において、高強度かつ高単色性のテラヘルツ電磁波発生が可能であることを見出した。具体的には、量子サイズ効果を利用して第1サブバンドの重い正孔励起子と軽い正孔励起子のエネルギー差をLOフォノンエネルギーに共鳴させることにより、励起子間瞬間干渉がコヒーレントLOフォノンの駆動力として作用し、その強度を顕著に増強すること(非共鳴条件の100倍程度)を明らかにした。 2.GaAs/AlAs超格子における新たなプロッホ振動の発見 反射型ポンプ・プローブ分光法により、ミニバンド状態の励起子量子ビートからワニエ・シュタルク局在状態のプロッホ振動への移行過程について詳細な実験を行った。従来、ブロッホ振動の振動数はeFD/h(Fは電場強度、Dは超格子周期)とされてきたが、電子・正孔包絡波動関数の弱局在領域において、2eFD/hの振動数のブロッホ振動が生じることを見出した。この成果は、プロッホ振動の新たな側面を切り開くものである。
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