研究課題
平成18年度の前半は、本研究に必須である大型電気炉と物性評価設備一式の整備を行った。RFe_2O_4の強誘電体性能を評価するには,Fe^<2+>とFe^<3+>の存在比を正確に決定することが実用のためにも必要である。またその比が1.000からずれてゆくことで、本研究に取り上げる中距離電荷秩序状態が示す複雑な電子特性が発現する。このため試料合成に於いては、酸素欠損を含む化学当量比を精密に決定する必要がある。化学当量比の正確な決定のために2g程度の試料焼成が可能な炉心管内径が60mmである大型気密高温炉を立ち上げた。この電気炉には分離式電子天秤を導入し試料アニール中の微細な重量変化を追跡し酸素欠損の精密な評価が可能になった。RFe_2O_4の電荷秩序は330K以下で3次元的な秩序が形成される。330Kから500Kまでの間は、三角格子面内だけ100A程度の相関の発達した二次元電荷秩序になっている。この温度領域が本研究の主要範囲であり本研究で取り上げる電気物性の測定は、500K以上から室温以下、できればフェリ磁性秩序の発生する200K以下まで連続的に測定することが望ましい。このため現有の低温誘電率測定機を改良し500Kから低温まで連続に試料環境温度を可変できる装置を作成した。また電子顕微鏡において低温での電子線回折実験を実施するため液体ヘリウム用高真空排気装置を立ち上げた。これらにより現在まで,試料作成時の化学量論比変化を評価するため二種類のパラメータを変化させたLuFe_<(2+x)>O_<(4-y)>の作成を試みている。作成試料の純良度は磁気転移温度において評価される。現在、x=0.02付近、y=0.02の試料において最も磁気転移温度の高い試料が得られている。しかし当面の目標する磁気転移温度に達していない。詳細な検討によりこれは化学量論比が仮焼成段階で変化する事が原因である事が判った。現在は仮焼成段階の技術的な再検討を行っている。
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