研究課題/領域番号 |
18340095
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊土 政幸 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90111145)
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研究分担者 |
桃野 直樹 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00261280)
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キーワード | 高温超伝導 / Bi2212 / 走査トンネル顕微鏡 / 走査トンネル分光 / 超伝導ギャップ / 擬ギャップ |
研究概要 |
本年度の研究では、非分散性のチェッカーボード型電荷秩序が現れるBi系高温超伝導体の擬ギャップと超伝導ギャップをSTM/STS実験から詳しく調べた。角度分解電子分光(ARPES)実験から擬ギャップはアンティノードを中心に発逹することが知られているが、空間分解能の高いSTM/STS実験からは、擬ギャップは空間的に非常に不均一であり、その不均一性と非分散性のチェッカーボード型電荷秩序の発達が密接に関係していることが分かった。また、空間的に平均した擬ギャップの大きさは、角度分解光電子分光(ARPES)実験の結果と一致する。一方、チェッカーボード型電荷秩序が現れて擬ギャップが空間的に非常に不均一となる場合でも、STSスペクトルのギャップ構造の底部は非常に均一である。ギャップ構造の底部は、k空間のノード近傍のフェルミアーク上に形成される超伝導ギャップ構造を反映しているが、フェルミアーク上の準粒子は大きな易動度をもっており、そこでの準粒子がクーパー対を作ると超伝導が起こるという可能性が考えられる。そこで、STSスペクトルで見られるフェルミアーク上の均一なギャップからアークの外側に形成される不均一で大きな擬ギャップへ移り変わるバイアス電圧から、フェルミアーク端での超伝導ギャップの大きさ△ Sを見積もり、△ SとT CがBCSの関係で結ばれると仮定してTcとの相関を調べた。その結果、両者はホール濃度依存性まで含めて良く一致することが分かった。
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