研究概要 |
1,不純物を含む強相関電子系の共鳴非弾性X線散乱の理論 分担者の筒井とともに精力的に研究を進めてきた遷移金属酸化物に対する共鳴非弾性X線散乱の研究を、不純物が存在する場合に拡張した。特に、銅酸化物中のニッケル不純物についての検討を進め、ドープされたホールがニッケルの周りの酸素サイトに入ることでスピン二重項状態作ることがわかった。また厳密対角化による非共鳴非弾性X線散乱のスペクトル計算を行った。現在、論文執筆中である。 2、電子格子相互作用を持つ強相関電子系の光学応答 分担者の松枝とともに、格子系と結合した強相関電子系、特に、モット絶縁体の光学応答スペクトルを、当グループが開発した動的に拡張された密度行列繰り込み群法を用いて計算した。レーザー光により励起されたモット絶縁体の励起状態の時間変化を計算し、その緩和プロセスについてのスピン・電荷・格子の自由度に関する知見を得た。 3,有限温度での動的密度行列繰り込み群法の開発 多項式展開法と基底ベクトルに対するサンプリングの手法を応用して、有限温度での動的密度行列繰り込み群法を開発した。この手法は低温領域で有効である。電子格子相互作用を持つハバード模型に適用して一次元モット絶縁体の光学吸収スペクトルを計算するプログラムを開発した。
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