研究課題
基盤研究(B)
これまで、高温超伝導は、母物質絶縁体に正孔または電子のいずれかをドープすることにより発現すると考えられてきた。電子・正孔ドーピングいずれによっても超伝導が発現することから、高温超伝導に対する「正孔・電子対称性」が主張されてきた。「正孔・電子対称性」は、現在広く受け入れられている「高温超伝導体をドープしたモット絶縁体」とみなす描像を強く支持する現象と考えられている。本来、「正孔・電子対称性」の厳密な検証には、同一結晶構造への正孔及び電子ドーピングが比べられるべきであるが、バルク合成ではそのような試みができない。本研究は、エピタキシャル単結晶薄膜を用い、同一結晶構造への正孔及び電子ドーピングを行い、高温超伝導の「正孔・電子対称性」の成否を厳密に検証することを目的とする。対称性の検証は四配位・五配位・六配位銅酸化物のすべてに対して行う。平成18年度は代表的な八面体六配位銅酸化物としてK_2NiF_4構造を有するLa_2CuO_4を取り上げた。本物質はSr^<2+>/Ba^<2+>による正孔ドーピングにより超伝導化することが知られている。しかし、本研究で行ったCe^<4+>による電子ドーピングでは導電化傾向が見えず、逆に絶縁化する。すなわち、本系は正孔ドープにより導電化、電子ドープにより絶縁化する。平成19年度は代表的な平面四配位銅酸化物として、Nd_2CuO_4構造を有するRE_2CuO_4を取り上げた(RE:希土類元素)。本物質はCe^<4+>/Th^<4+>による電子ドーピングにより超伝導化することが知られている。しかし、本研究では、不純物酸素を除去することにより、ノンドープでも超伝導化することを見出した。また、本系は正孔ドーピングによりT_cが上昇し、電子ドーピングによりT_cが下降する。四配位・六配位銅酸化物いずれも「正孔・電子対称性」が破れている。
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