研究課題
基盤研究(B)
本科研費の期間では、主に水和物コバルト酸化物Na_x(H_3O)_zCoO_2・yH_2Oの物性を核磁気共鳴(NMR)により調べた。水和物コバルト酸化物Na_x(H_3O)_zCoO_2・yH_2Oにおける磁性と超伝導水和物コバルト酸化物超伝導体について、核磁気共鳴(NMR)、核四重極共鳴(NQR)の実験から超伝導、常伝導状態の物性を微視的に調べた。この超伝導は2003年に物質・材料研究機構の室町グループにより報告された。超伝導は、母物質Na_<0.7>CoO_2を水に浸すことによりNaを抜き、結晶の中に水分子を挿入することによりc軸長が母物質より倍程度伸びた状態で出現する。(Bilayered Hydrate(BLH)構造)ただこの構造は、室温では不安定で、水が蒸発しCoO_2層間に水とNaからなる層を一層もつMono-layered Hydrate(MLH)構造に変化する。超伝導はBLH構造にのみ見られ、無水物、MLH構造では超伝導は見られない。また現在では様々な実験から、この超伝導は、銅酸化物高温超伝導体に見られるような異方的超伝導体と考えられている。我々は、BLHとMLH構造の物質に対しCo核のNQRを行い、超伝導を示すBLH構造にのみ80K以下の低温で磁気励起が発達していることを核スピン-格子緩和率(1/T_1)の測定から明らかにした。この結果は低温の磁気励起と超伝導に何らかの関係があること示している。さらに、十数種類の超伝導転移温度の異なる試料に対しCo-NQRを行い、Co-NQR周波数と磁気励起に関係が見られること、超伝導は磁気励起が大きな試料に現れ、超伝導転移温度の最も高い試料は磁気相との境界に位置していることを明らかにした。これらの結果から、Co核のNQR周波数を横軸にとりBLHコバルト酸化物の相図を作成し、この相図は重い電子系超伝導体の相図と似ていることも指摘した。最近では単結晶BLHの試料を用いて詳細に角度を制御したもとで超伝導状態のナイトシフトを測定した。その結果は以前報告された結果と異なり、超伝導状態のナイトシフトの振る舞いに試料依存性が見られることを示した。
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