研究課題
UBe_<13>は1980年代前半に発見された超伝導転移温度Tc=0.86K、電子比熱係数γe=1.1J/mol・K^2の重い電子超伝導体である。純良単結晶作成の難しさなどから、20年以上研究が続けられた現在でもその超伝導の本質はほとんど理解されていない。近年芳賀らによってUBe_<13>の大型単結晶試料が育成された。本年度は、この試料を用いて常伝導状態の角度分解NMR測定から、UBe_<13>の電子状態や超微細磁場の起源を明らかにすること、上部臨界磁場測定をおこない、超伝導基本特性を明らかにすることを目的とした。本年度は、冷凍機を用いた極低温NMR実験をおこない、低温・低磁場状態での超伝導対パリティの決定をおこなうこと、さらに専用LC共振回路の設計と、共振回路と冷凍機との整合性確認などの確認を行い、ヘリウム3冷凍機をもちい、5テスラまでの高磁場実験を行いつつ、100mK以下のNMR実験における最適条件を探索することとした。本年度は、2007年10月に代表者が神戸大学に異動となったため、機器の移設や調整のため、調整が比較的簡単なヘリウム3冷凍機をもちいた角度分解NMR実験を中心に行った。超伝導状態で、軸方向によりナイトシフトの異方性が確認され新たな知見を得た。当初の計画の100mKでのNMR測定については、専用LC共振回路の設計と冷凍機の整合性の確認作業に時間を要したため、予備的な運転までとなったが、最適条件がほぼわかったため、来年度は極低温実験により超伝導対称性を明らかにする予定である。また、関連物質であるスクッテルダイト超伝導体PrOs_4Sb_<12>のNMR実験についてスピン格子緩和率の異常な磁場依存性を確認した。
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Journal of the Physical Society of Japan, 76
ページ: 058001(1page)
Journal of physics and Chemistry of Solids, 68
ページ: 2195-2198
Journal of the Physical Society of Japan 76
ページ: 103708/1-4