研究課題/領域番号 |
18340108
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
真庭 豊 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (70173937)
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研究分担者 |
松田 和之 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 助教 (60347268)
門脇 広明 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70194876)
片浦 弘道 (独)産業技術総合研究所, グループ長 (30194757)
丸山 茂夫 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90209700)
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キーワード | NMR / カーボンナノチューブ / 相転移 / 計算機実験 / アイスナノチューブ / 水 / メタン |
研究概要 |
原子スケールの微細な空間内に閉じ込められた物質系は、バルク領域から連続的に推測された性質を示すとは限らない。またその性質は空間の形状や大きさの僅かな変化に対して極めて敏感に変化すると予想される。本研究はこのような制限空間内の物質系の振る舞いを明らかにすることが目的である。本年度は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)内部の水、メタン、酸素などの相転移挙動を分子動力学計算、NMR、中性子線回折実験などにより研究し、以下の成果が得られた。 1.平均直径が11.7〜14.4AのSWCNT試料について、その内部の水は低温で液体-固体相転移を示し、低温ではアイスナノチューブと呼ばれるチューブ状の氷が形成され、その融点はSWCNTの直径が小さくなるほど上昇することが知られている。本年度はこの融点の異常な振る舞いを明らかにするために、直径の異なる多数のSWCNT内の水について古典分子動力学計算を用いて調べ、実験を再現することに成功した。 2.平均直径が14.4A以上のSWCNT試料への水の吸着現象はこれまで殆ど明らかになっていなかった。本年度e-DIPS法により作製された平均直径20Aの良質試料を用いて水吸着実験にはじめて成功した。また、室温において、吸着等温線のSWCNT直径依存性の系統的測定をX線回折実験の手法を用いて成功した。これらの結果の詳細な解析によって、今後、疎水性SWCNT空洞への水の吸着機構を明らかに出来るものと期待される。 3.平均直径が13.5AのSWCNT試料の希薄メタンについて、重水素核のメタンのNMRの測定と古典分子動力学計算を行い、相転移挙動の観察に始めて成功した。メタン分子は、気体液体様相転移および回転に関する相転移挙動を示すことが明らかになった。
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